技術情報屋上緑化の性能

風に負けない耐風圧性能が必要/屋上には風が吹く。 だから、複雑な風の力からグリーンを守る

気候や風土による風の種類の違いとは別に、建物や植物の高さにより、風圧のかかり方は変わります。そこで耐風対策はそれぞれの環境を考慮して、慎重に立てていかねばなりません。

屋上緑化にしても、庭園型、薄層型で耐風対策は異なります。

庭園型では正の風圧によるトラブルが多く、薄層型では負の風圧によるトラブルがよく見受けられると報告されています。

耐風性能-図

FD-LE工法の耐風圧性能

FD-LE工法の耐風圧性能についての考察

FD-LE工法は、FDドレインLNをエコムテープ20でルートガードDに接着固定する工法です。

[FD-LE工法の下地接着面積]

約526cm²/m²

[下地接着強度]

ルートガードD/エコムテープ20/FDドレインの長期接着強度は約20N/cm²(40℃温水浸漬3年)である。よって、接着強度は、10,520N /m²となる。

正圧
[屋根面にかかる風圧算定]
事例1.沖縄某現場の屋上緑化面が受ける風圧力の算定

算定に際して、適用される当該現場データは以下のものである。

基準風速:46m/秒(沖縄県名護市)

建物の高さ:18m

地表面粗度区分:II(海岸線より500m以内等)上記条件において、風圧力を算定すると、

風圧力(N/m²) 屋根中央部 軒先・ケラバ コーナー部
-3.771 -4.827 -6.486

FD-LE工法の接着強度は前述の10,000N /m²であるから、当該現場での風圧力に対する安全率は約150%となる。

事例2.神奈川県某現場の屋上緑化面が受ける風圧力の算定

基準風速:34m/秒(神奈川県足柄上郡)

建物の高さ:13m(3FL)

地表面粗度区分:II(海岸線より500m以内等)上記条件において、風圧力を算定すると、

風圧力(N/m²) 屋根中央部 軒先・ケラバ コーナー部
-1.868 -2.391 -3.214

FD-LE工法の接着強度は前述の10,000N /m²であるから、当該現場での風圧力に対する安全率は約300%となる。

[結論]FD-LE工法の耐風圧性能は、十分な安全率を有していると判断される。

見えないところで起こっているかも?根が原因の事故で、建物はダメになる/植物の根はどこまで伸びる?だから、耐根層にはこだわりたい

植物の根は驚くほど強く、長い年月の間に防水層を貫通し、漏水事故を引き起こすこともあります。そのため、屋上緑化にはあらゆる場合を想定した、確かな性能を持つ耐根層が必要とされています。

田島ルーフィングのルートガードDならば、寸法安定性に優れ、長期的に根の侵入を防止することが可能。耐水性にも優れており、土中の水分による変形、変質がありません。植物の根に対する高い抵抗性を備えながら、経年後も安定した効果を期待できる耐根用ルーフィングです。

耐根性能-図
ルートガードD(自着型耐根シート)

ルートガードD
(自着型耐根シート)

FDフィルム(耐根補助フィルム)

FDフィルム
(耐根補助フィルム)

ルートガードと一般ストレッチルーフィングの耐根性能比較

ルートガード

一般ストレッチ
ルーフィング

ルートガード

ルートガード

根の生育力が非常に強いとされているクマザサを用い、約1年間放置した後の様子が右の写真です。根の進行を防ぎきれない一般ストレッチルーフィングに比べて、ルートガードが高い耐植物根性能を有していることが分かります。

屋上緑化の耐根層はどこまで貼るべき?

耐根層は防水性能に関わってくるので、屋上緑化部の直下だけでなく立上り部も含め防水層全体に貼り付けることを推奨します。特に押えコンクリート仕上げの場合には、防水層に耐根層を貼り付けてから押えコンクリートを打設することが望ましい位置です。

露出防水

全面緑化 推奨

押えコンクリート仕上げ

部分緑化 押えコンクリート仕上げ 推奨

耐根層は、押えコンクリートの上ではなく押えコンクリートの下が望ましい

耐根層緑

耐根層(ルートガードD)

防水層黒

防水層

※押えコンクリート上に耐根層を設置する場合は(目線で日常管理ができる場合に限り)見切材下までとすることがあります。

植物には新鮮な水と空気が欠かせない!/保水・排水・通気の三位一体が必要だ。 だから、立体構造のFDドレインが活躍

1枚の立体構造パネルに保水・排水・通気機能を一体化したのがFDドレイン。

表面の凹部で保水し、オーバーフローした余分な水は、パネルとパネルの隙間から下層部に流れ落ちていきます。パネルの裏側では、躯体勾配に沿って流れる水がルーフドレインを抜けていき、排水層として機能。さらに、立体構造により生まれる空隙部が通気層としての役割を果たします。

1枚のパネルが3つの役割を持つことで、大幅に軽量化されているうえ、それぞれの層としての機能も向上しています。

水の流れ/空気の流れ

G-ウェイブシステムの排水性能

実際の排水は、分岐・合流をともなう管路系に類似した形態をとります。しかし、この場合、解析が複雑となりますので、ここでは開水路流として解析しました。ある一定空間の単位時間排水量はマニングの公式より求められます。FDドレインについて求めた排水量を下表に示します。

    FDドレインLN、LH
排水量(m²/h) 水勾配:1/100 3.3
水勾配:1/50 4.7
水勾配:1/10 10.4
排水対応流れ長さ(m):緑化域の降雨水のみとして計算
時間当たりの降雨量:100mm 33
時間当たりの降雨量:50mm 66

水勾配1/100の場合、FDドレインはそれぞれ3.3(m³/h)、9.4(m³/h)の排水性能を有しています。時間100mmの降雨量の場合、FDドレインは流れ長さ33mまでは水が滞留することなく、暗渠部分で排水されることを示しています。

緑化区域の排水性能は見切り材や緑化外周部の排水空間で大きく左右されますので、注意が必要です。

流れ長さが長い場合は、別途排水路を設けることが必要です。また、緑化域以外からの降雨水が緑化域に流れ込まないような排水計画も必要です。

長年培ってきた技術で軽量で緑の日傘効果を実現/薄層で遮熱効果のあるシステムとは? それを可能にする、Gウェイブシステム

積載荷重について

建物は建築基準法によって、建物の種類や部分毎に積載荷重の限度が決められています。屋上緑化を計画する際には、この積載荷重に基づいた緑化プランを計画する必要があります。また、1981年(新耐震基準法)以前に建てられた建築物の存続程度に、大きな違いがあるため、十分な検討を行ってから屋上緑化を計画する必要があります。

また、屋上緑化システムを構成する中で最も荷重がかかるものは土壌となります。また土壌厚によって植えられる植栽も決まってくるため、植えたい植栽に必要な土壌厚とそれにかかる荷重を考慮して屋上緑化を設計する必要があります。荷重で最も厳しい条件である60kg/㎡(下表参照)もクリアした屋上緑化システムがG-WAVEの薄層緑化システムになります。

Gウェイブシステム
建築基準法施行例における建築物の積載荷重
構造計算の対象
室の種類
(い) (ろ) (は)
床の構造計算を
する場合
大梁、柱または基礎の
構造計算をする場合
地震力を
計算する場合
1)住宅の居室、住宅以外の建築物
における寝室または病院
180kg/m² 130kg/m² 60kg/m²
2)事務所 300kg/m² 180kg/m² 80kg/m²
3)教室 230kg/m² 210kg/m² 110kg/m²
4)百貨店または店舗の売り場 300kg/m² 240kg/m² 130kg/m²
5)屋上広場まはたバルコニー 1)の数値による。ただし、学校まはた百貨店の用途に供ずる建築物にあたっては
4)の数値による
植栽 セダム 芝生 地被植物 低木 中木 高木
土壌厚 45mm 150mm 150〜200mm 250mm〜 300mm〜 400mm〜
マルチング 15mm 15mm (オプション:15mm)
システム荷重 60kg/m²〜 127kg/m²〜 141〜181kg/m² 212kg/m²〜 252kg/m²〜 332kg/m²〜

※植栽重量は含まれておりません。(セダムを除く)

Gウェイブシステム
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