技術情報 屋上緑化の効果環境保護と社会貢献
環境改善から建築物の保護、省エネルギーまで、屋上緑化によるメリットは多様です。自然環境や経済をはじめ、様々な方面から人々の暮らしへ豊かさを与えます。
心理面に促す癒しの効果
-
緑という自然の色には、人の心を癒す効果があると言われています。ストレスを感じやすい都市生活者にとって、景観の向上が与えるやすらぎは一種の清涼剤。屋上緑化は、数値では表せない心理面への効果も持ち合わせています。また、環境にやさしい施設として企業や団体のイメージアップ効果が期待できます。
省エネルギーを実践する遮熱効果
-
屋上緑化によるクールダウン効果で、夏季の冷房費節約に役立ちます。特に恩恵を受けるのが屋上直下のフロア。省エネルギーの効果が期待できます。
保護層としての機能が建物の耐久性を向上
-
たとえば夏場の露出した屋上面では昼と夜で30℃以上も温度差が生じるなど、コンクリートの膨張・収縮によって建物の劣化を招きます。屋上緑化は、緑化された部分が保護層として機能し、劣化を軽減する効果を生み出します。紫外線を遮断するため建物の耐久性が向上し、ライフサイクルコストの削減にも役立ちます。
ヒートアイランド現象の抑制
-
現在、日本の都市部では、郊外に比べて気温が高くなる「ヒートアイランド現象」が深刻化しています。アスファルトやコンクリートによる熱の蓄積、そして自動車や空調機からの排熱などが主な原因として考えられ、温暖化という地球レベルでの環境問題とからみ合っている現象です。このヒートアイランド現象の緩和のために現在、都市部に建ち並ぶビルの屋上を“緑化”する事業が推進されています。緑化された屋上から水分が蒸発することで、地表の熱が奪われ冷却効果をもたらします。同時に、夏季の建物内のクールダウンにもつながり、冷房費の削減にも効果を発揮します。
人々の環境への意識・興味の向上
-
屋上緑化は、次世代型環境づくりへの積極的なアプローチとして注目を集めている話題の1つ。オフィスビルや集合住宅、店舗など、人々の生活に関わる建築物に緑化を施すことにより、自然をより身近なものにし、人々が環境について考える機会を作ることに貢献します。
在来スペースの有効利用による経済的寄与
-
屋上という在来オープンスペースに植物を植えることで、新たな価値を持つ新空間が創造できます。条例による緑化の義務付けなどに対応するだけでなく、憩いや癒しの場として積極的に利用することで、新たな経済活動の場となる可能性を秘めています。
雨水の一時貯留で水害を防止
-
土が少なくコンクリートやアスファルト面の多い都市部では、雨水の急激な流出による洪水が問題視されています。集中豪雨で地下街などに雨水が浸入する水害が代表的な例です。屋上緑化は、鉢植えの花木に水を与えるとしばらくして底の鉢穴から水が流れ出てくる現象と同じ原理で、雨水をいったん取り込み、集中的な排水を抑える効果を生み出します。